エコーガイド下末梢神経ブロックの画像・動画

Erector Spinae Plane Block (2)

胸部の傍脊椎で行うブロックとして

 

PVBに加えて、ESPブロックやレトロラミナブロック(RLB)が出てきました。

 

ESPBとRLBは薬液の投与位置はとても似ています。

 

しかし、薬液の広がりや傍脊椎腔への浸潤という観点からすると

 

RLB<ESPBであることがいくつかの論文で言われています。

 

 

また、最近では、その傍脊椎腔への浸潤についても疑問を呈する内容がでてきました。

 

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    (ペインクリニック秋号別冊Vol.39より)

 

 

胸部で行った場合、胸骨の脇の部分(前枝領域)が効かない症例があり

 

そのことから、上図の経路2がESPBの本態ではないのかという考え方がでています。

 

つまりESPは、傍脊椎腔へ浸潤するのではなく、外肋間筋を伝って外側方向へ浸潤し

 

外側皮枝までをブロックする手段ではないかという考え方です。

 

現在、経路1(傍脊椎腔へ浸潤)と経路2ともに支持する研究結果がでており

 

結論はでていません。

 

 

経路2について掘り下げていくと

 

胸部では胸骨周辺の鎮痛はとれませんが

 

腹部では腹部全体の鎮痛がえられます。

 

何故かというと、腹部では外腹斜筋が外側皮枝の支配だからです。

 

 

実際、筆者自身ESPブロックを4回ほど

 

自分で試してみました。

 

腹部全体の知覚低下が得られたこともあれば、後枝領域のみしか得られなかったこともありました。

 

しかも腹部の知覚低下には30〜60分程度の時間がかかりました。

 

また、腹部前部の知覚低下具合は

 

後肢領域を100としたとき、30〜50程度でした。

 

これは外側皮枝だけブロックされたと考えると納得の数値です。

 

また、腹部前面の効果時間は2時間程度と非常に短かいものでした。

 

 

つまり、ESPは後枝の通り道に注入しますので後枝は確実にブロックされます。

 

それ以外の枝については、傍脊椎腔に入るにせよ入らないにせよ

 

薬液の浸潤が必須ということです。

 

 

経路2がメインではあるけれども、経路1もあるだろう・・というのが筆者の今のところの考えです。

 

胸部でも前枝領域がブロックできたとする症例報告があることに加え、

 

自験例でも内臓痛までしっかり取れる症例もあるからです。

 

また、ESP (1) の記事でも書いたように

 

とくにカテーテルを入れて長時間持続的に薬液を注入した例で効果が強く得られることからも

 

薬液の浸潤がESPの本態と考えます。

 

 

最初は、ESP (1) の記事で当初書いたように

 

PVBを行っていた全ての症例をESPに変更していたのですが

 

ESP単回投与の持続時間や、前枝領域の効果の不確定さを考慮し

 

PVBがやっぱ一番いいか!という感じで

 

PVBに回帰しています。

 

 

現在、筆者の施設では

 

ESPは

 

1)PVBを行えない理由がある患者

 

2)カテーテルをいれて持続ESPができる患者

 

などに限定しており

 

PVBの補助的手段として活用しています。

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