ISPブロックの有効性が確かめられている
2024/05/12
2017年に、TLIPブロックの頸部版として
Multifidus cervicis plane block(MCPブロック)を報告しました。
つづいて2018年に、こっちの方が浅くてやりやすいよと
Intersemispinal plane block(ISPブロック)を報告しました。
これが頸部脊椎手術に利用できるブロック2部作だったわけですが
正直なところ、手術部位のすぐ近くに穿刺する手技なので
受け入れられるのか・・という点は不安でした。
日本でも、オペレーターによって意見は様々なんですが・・・
総じて、オペの上手な先生だと「全く問題ないよ」って感じではあります。
オペの上手な先生って、麻酔科医が近くで何かやってても
感染なんかしないんですよね。
ただ、気にする先生ってやっぱり居るので
そこはしっかりコミュニケーションとって
施行していきたいところです。
世界では、2022年にエジプトのTanta大学のチームから初めてのRCTが出て
あー、エジプトは受け入れられるんだなと。
このRCTでは頸部手術で手術後12時間のNRSと、24時間のオピオイド必要量が
有意に低くなることが示されました。
昨年2023年にも、同じエジプトのZagazig大学からRCTが出ました。
結果はほぼ同じで、
オピオイド必要量の減少と、オピオイドによる副作用が軽減されるという内容でした。
(PubMed Anaesth Crit Care Pain Med)
今年2024年は、ついにエジプト以外から
インドのGanga病院の脊椎外科&麻酔科からRCTが出ました。
今回のRCTで面白いのが
ISPブロックを施行した群では、一般的なMultimodal Analgesia群に比べて
術中の血圧やHRが一定に保たれるため
術中出血が半分くらいになるというところ。
もちろん、術後24時間までのNRSが低値だったり
PONVが少なく、術後の動き始めも早いという事も他の2本と同じでした。
実際に、我々がやった症例でも
本当に術中の血圧は安定します。
術後IVPCAがいらないんじゃないかってくらい平気な顔で帰ります。
日本人って痛みに強いですよね。
頸部の手術って比較的痛みは少ないと言われますが
その反面、頸を動かせないので肩こり・頸こりがひどかったりします。
ISPブロックは、そのような痛みに対しても有効です。
少しずつ広がっていくといいなぁ。
役立つリンク集
関連ページ
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