全麻(アネレム)+ブロック ― レミマゾラムのお話
2020/12/3 2020/12/27復元
アネレム(レミマゾラム)が発売されましたね。
10年ほど前でしょうか、大学で第三相試験で使用したのを思い出しますが
やっと発売・・長かったですね。
みなさんの施設では使われているでしょうか?
当院では、9月中頃に導入して、そこそこ積極的に使っています。
ここは神経ブロックのHPなので、表題をアネレム+ブロックとしていますが
神経ブロック併用に限らず、非常に良い麻酔薬ですね。
最初は使い方の検討が必要でしたが
現在は自分なりのモディファイが完了し、2分で覚める最強の麻酔薬となりました。
添付文書どおりに使うと、まぁ・・・なかなか覚めません。
あれじゃ使い物にならないレベルですね。
どの麻酔薬でも同じですが
鎮痛がしっかりとれていれば、麻酔薬の使用量って減らせます。
デスフルランって結構4%程度で使っている人多くないですか?
これって2/3Macくらいですよね。
なのにセボフルランだとなんでみんな1Macつかうんでしょう。
これ、昔から疑問でした。
自分は、例えばセボフルランは1%以上にしませんし
デスフルランも3〜4%です。
なおレミフェンタを1ガンマ(0.1じゃないですよ)くらい使うと、さらにその半分くらいで維持できますし
2ガンマも使えば鎮静なんてトリガー程度で維持できます。
もちろん、そんなぶっ飛んだ麻酔を常にやっているわけではないですよ。
鎮痛と鎮静(と筋弛緩)のあのグラフを考えてください。
「これだけはもっていけ:G-note」のの56項
・・・・これはプロポとセボのハイブリッド麻酔(キセル麻酔)についてのべていますが・・・・
にもあります。
つまるところ、しっかり鎮痛がとれていれば
鎮静薬の投与量は減らせます。
通常は、上記のようにレミフェンタでドロドロにするわけではないので
鎮静薬を極少量にしたりはしません。
必要最低限量を使います。
ここからはG先生の現在のアネレム使用法を述べていきます。
あ・・いきなアルファベット登場しましたが・・・
Gは筆者のあだ名の頭文字です。
「G-noteって何?」ってよく聞かれるんですが
あれは「俺(G)の麻酔ノート」を出版したものです。
大学にいたころですが、あのノートをGノートとみんな呼んでいました。
Gは私の本名から推測してください。
こらこら、ゴキ○リとか言わないように。
さて、余談はこれくらいにして・・・
まずは
ここで紹介する方法は個人的な見解であり
安全性や確実性を担保するものではありませんし
添付文書外使用を推奨するものではございませんので
ご理解いただいた上で、お読みください。
また実際行う場合には、自己責任でお願いします。
アネレムの希釈は添付文書通り1Vを50mLに溶かします。
まず導入時の投与法ですが12mg/kg/h。
これとんでもない量ですよね。
50kgで600速、100kgで1200速ですよ。
テルモのシリポン(タイプにもよりますが)はF2を押しながら電源を入れると
設定を変えることができます。
1200速まで限界突破してあげましょう。
アネレムは配合禁が多いです。
限界突破できることを知るまで
希釈を20mLとか10mLにしてみたりしたんですが
濃い希釈だと、輸液ラインに達したとたんに析出したりして
危険なので1V/50mLの希釈は変えないほうがいいです。
とはいえ、1200速とか設定するのも面倒くさい。
さらに入眠してから、100速とか60速とかに落とすわけですよ。
「停止ボタンおしながらクルクルすると速いですよ」
なんて言うけど、忙しい導入時に結構な労力です。
これも最近、動画とかで言われていますが
やっぱり、導入量だけ別にとっておいて、ワンショット導入が簡単です。
(推奨された投与法ではないので完全に自己責任です)
シリポンフラッシュでもいいですよ。
そもそも1200速って、シリポンフラッシュの速度ですから(機種にもよりますが)。
0.2mg/kgの静注で入眠します(ここはまだ検討の余地あり)。
入眠直前に高率でHRが上がります。
最初はこっちのHRも上がります(どうでもいい)。
30秒くらいで導入量を入れ切っちゃってますが
添付文書の12mg/kg/hで1〜2分で入眠ということ考えると
速いんでしょうね。
(導入量を3〜4分割して1分程度かけて投与すればHRあがりません)
HR上がる理由は分かりませんが、何かあるんでしょうね(だれかえらい先生教えてください)。
(なのでやっぱり自己責任です)
つづいて、麻酔の維持ですが
私はアネレムは基本的に0.5mg/kg/h以上使っていません。
アネレムはBISが下がりにくいとか、あてにならないとか
いろいろ言われていますけど
正直、添付文書どおりに維持したら、
BIS40台なんかで維持したら、
なかなか目が覚めません。
アネキセートいれてもなかなか覚めません。
使ったことある人はわかりますよね?
早い覚醒を得るには、BISで55〜65で維持するのがよさそうです。
導入量の投与と同時に0.5mg/kg/hで開始します(簡単でしょ) (※後述)。
すべての作業がおわって落ち着いたら
BISが60前後になるように速度を調節します。
※ 導入直後0.5mg/kg/hだと人によって少し量が足らない人がいます。
10分も投与すれば満ちてきますが、体位変換などで麻酔が浅くなることがあります。
そのような場合は最初だけ1mg/kg/hに増量するか
または前例、最初の数分は1mg/kg/hとするのもありだと思います。
麻酔の維持の段階で
0.5mg/kg/h以上が必要な人は稀です(稀にいますけど・・)。
経験的には、必要量は年齢に依存しません。
0.2mg/kg/hで維持できちゃう人もいます。
一応、それ以下には下げないようにしています。
平均で0.3〜0.4mg/kg/hくらいじゃないかな・・・
え!?術中覚醒がこわい?
ミダゾラムでしょ、きっと覚えてない。
(なので絶対に自己責任です)
オペが終わって、レントゲンよいしょ・・・なあたりでアネレムをOFFします。
レミフェンタは0.1ガンマ程度残しています(年齢によって手加減してくださいね)。
麻薬の処方とか、麻酔チャートの記入なんかを行いながら
レントゲンが上がるのを待ちます。
レントゲンOkで〜す、そしてこっちの書類仕事お終わったら
さぁ、覚醒に向かいます。
レミフェンタをOFFにして、麻薬を完全にしめてしましましょう。
そして、ここで伝家の宝刀!!
『ブリキセート』
はい、なんか変な言葉でてきました。新語つくっちゃいました。
麻酔科流行語大賞ねらえますかね?
アトワゴリバースくらい浸透しないかな・・。
ブリディオン200mg+アネキセート0.2mg/2mLを混ぜたもの(Total 4mL)です。
ブリディオンは酸性溶液(アネキは酸性)とまぜると析出して良くないみたいなんですが
いやぁ、大丈夫だねぇ。。。
実際のところはわからんけど、今のところ大丈夫。。。
混ぜる必要ないじゃんって人は別々にやればいいし
ホント、自己責任でお願いしますね。
ブリキセートを投与したら
2分で抜管です!
2分以内に覚醒して抜管までいけます。
ブリキをいれたら2分で抜管♪
ブリキをいれたら2分で抜管♪
レミフェンタを直前まで投与してるので
かなり穏やかな抜管になります。
そして早い!
さらに、100kgの患者でも50速しか使いませんから
どんなシリポンでも大丈夫。
アネレム使用量も、添付文書の半分ですかね。
アネレムって抜管した後もドロドロですよね、病棟ついたあたりまで記憶なかったり。
この方法ならそんなこともなく、しっかり目覚めますよ。
なお、本法は鎮痛が十分にとれていることが前提です。
また、添付文書とは大きく乖離しています。
G先生が臨床で経験した話を総合したフィクションですから
実践する場合には、自己責任でお願いします。
役立つリンク集
関連ページ
- 正誤表(第1版)
- 成書『あっという間にうまくなる 神経ブロック上達術』とリンクしたサイトであり、同書で紹介されている末梢神経ブロックに関して動画・画像や補足事項を紹介します。
- 鎖骨上アプローチの図について
- 成書『あっという間にうまくなる 神経ブロック上達術』とリンクしたサイトであり、同書で紹介されている末梢神経ブロックに関して動画・画像や補足事項を紹介します。
- SIPB/SPBとPECSブロックについて
- 成書『あっという間にうまくなる 神経ブロック上達術』とリンクしたサイトであり、同書で紹介されている末梢神経ブロックに関して動画・画像や補足事項を紹介します。
- 胸壁の神経ブロック/どれを選択すべきか
- 成書『あっという間にうまくなる 神経ブロック上達術』とリンクしたサイトであり、同書で紹介されている末梢神経ブロックに関して動画・画像や補足事項を紹介します。
- 甲状腺手術に対する神経ブロック
- 成書『あっという間にうまくなる 神経ブロック上達術』とリンクしたサイトであり、同書で紹介されている末梢神経ブロックに関して動画・画像や補足事項を紹介します。
- 実際に起こったBezold-Jarisch反射
- 成書『あっという間にうまくなる 神経ブロック上達術』とリンクしたサイトであり、同書で紹介されている末梢神経ブロックに関して動画・画像や補足事項を紹介します。
- 多量の薬剤を使用するときの工夫
- 成書『あっという間にうまくなる 神経ブロック上達術』とリンクしたサイトであり、同書で紹介されている末梢神経ブロックに関して動画・画像や補足事項を紹介します。
- 神経ブロックには鈍針を使いましょう
- 成書『あっという間にうまくなる 神経ブロック上達術』とリンクしたサイトであり、同書で紹介されている末梢神経ブロックに関して動画・画像や補足事項を紹介します。
- 前腕のブロックの図の色が見えにくいことについて
- 成書『あっという間にうまくなる 神経ブロック上達術』とリンクしたサイトであり、同書で紹介されている末梢神経ブロックに関して動画・画像や補足事項を紹介します。
- 膝下の神経支配の配色について
- 成書『あっという間にうまくなる 神経ブロック上達術』とリンクしたサイトであり、同書で紹介されている末梢神経ブロックに関して動画・画像や補足事項を紹介します。